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Present from CRUZ (10月 7日)
有難う御座いましたっ♪
<白銀>
白い。何処までも白く・・・眩しいくらいに。
三年前の病室がフラッシュバックする。
あの日の親父の顔は、舞い散る雪に負けないくらい白く頼り無かった。
零れ落ちもしない涙をこらえていたんだ、僕は。
(僕のせいです、ごめんなさい、みんな・・・)
そんな時、何も聞かずただ僕を抱き締めていてくれたのは・・・
幸司はそっと目を開けた。
彼の寝息が聞こえる。ぼんやりと微かに寝顔がちらついた。
起こさないように、そっとベッドを抜け出す。まだ外は暗く夜中らしかった。
くらくらと揺らめく視界に耐えながら幸司はキッチンへと手探りで歩いた。
戸棚からカップを出し、温める。
立ったまま熱いコーヒーをすすっていると昨夜の事が蘇ってきた。
僕は幸せにはなれないんだ。皮肉な名前をつけた親父が一番最初にそれを壊した・・・
「・・・幸司?」
不意に名前を呼ばれて彼は思わずカップを取り落としそうになった。
声のした方に顔を向けるとそれは彼らしかった。
「ああ・・・おはよう。卓斗」
笑顔を作って云う。
過去を引きずっている事など彼には知られたくない。心配させたくなかった。
「おはよ・・・早いね」
まだ目をこすっている卓斗に幸司はコーヒーのカップを渡した。
良かった、何も変には思われていないようだ・・・
男二人でキッチンでコーヒーを立ったまま飲んでいる光景が我ながらおかしくなり、
二人は顔を見合わせてふっと笑った。
卓斗は気付いていた。
幸司には何か辛い過去があるという事、そしてまだそれを背負っている事を。
愛しているから判った。
けれど・・・幸司も卓斗を愛しているから話さない。
雁字搦めな自分達が酷くもどかしかった。
代わりにただ、そっと抱き締める。
「幸司・・・独りで歩いちゃ駄目だよ。何も見えないより危険なんだから・・・」
腕の中の幸司の身体に自分の温もりが伝わっていくのがわかる。
「僕は大丈夫」
気丈な言葉を吐くけど、幸司、独りで抱えこまないで?
俺に・・・俺にはただこうして抱き締めてあげる事しか出来ないけれど。
卓斗の身体は温かかった。
今の僕を包んでくれる唯一の幸せ。これ程までに僕は幸せに飢えているのか。
「卓斗・・・」
僕達はもう一緒にはいられない。僕が卓斗を縛り付けてるんだ・・・
(僕はサツジンシャなんだよ。)
何、と訊き返す代わりに彼は冷えた唇を押し付けてきた。
身体は温かいのに、そこだけが求めていて、淋しがっていて。
駄目だと判っていても幸司の身体は卓斗を必要としていて・・・
そのまま二人はもつれ合うようにベッドへ倒れ込んだ。
これきり・・・これが最後だ。
幸司は愛しすぎた卓斗の身体を貪った。
「・・んっ・・・はぁっ・・」
幸司の長い指が身体のあちこちをまさぐる。
幸司の舌も指も唇も手も、全てをずっと感じていたかった。
涙がこめかみを伝いシーツに滲む。
そんな卓斗のまぶたに幸司は優しくキスする。
「・・や・・・・もっ・・と・・・」
いつまでもこうしていたくて、でも幸司と逝ってしまいたい衝動を
抑えきれずに卓斗は喘いだ。
幸司・・・優しすぎる。
頭の何処かでそう思ったけれど、幸司の淫らな舌は卓斗の理性を奪っていった。
泣きながら求めてくる卓斗の全身を手に、唇に焼き付けながら幸司は思った。
卓斗が気付いていないはずが無い・・・
でも、でも、僕はもう居られないよ、ごめんね・・・
あの日からずっとはっきりしない視界の中で、彼だけが光を放っている。
次第に形を変えていく月灯りが照らす白い部屋に
荒い息を吐きながら激しく動く姿が映っていた。
最後の日。
打ち明けられない弱さと、止められないもどかしさと・・・
愛していたから。愛しすぎたんだ・・・・
記憶を埋めてくれる雪はまだ降らない・・・
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